COLUMNコラム
JATI-ATI(JATI認定トレーニング指導者)|国内トレーナーの実践力を証明する資格について解説

2025.12.2
みなさんこんにちは!NOVAS代表の脇坂です。
日々トレーナーを育成する中で、「国内で信頼されるトレーナー資格って何ですか?」という質問をよく受けます。
国際的なトレーナー資格である NSCA-CPT については解説しましたが、今回は日本国内で高い評価を得ている資格、JATI-ATI(JATI認定トレーニング指導者) をご紹介します。
この資格は、実践的な指導力と科学的根拠に基づいたトレーニング理論を兼ね備えた「現場に強いトレーナー」を育成することを目的としています。スポーツ選手の指導、パーソナルジムでのボディメイク、フィットネスクラブでの一般向け運動指導など、多様な分野で活躍できる点が魅力です。
この記事では、JATI-ATIの基本情報、学べる内容、資格を取るメリット、活躍できるフィールド、そして他資格との違いについて、私自身の現場経験と経営者としての視点を交えながら詳しく解説していきます。
JATI-ATIの基本情報
JATI(日本トレーニング指導者協会) は、日本のスポーツトレーナー・運動指導者の育成を目的に2006年に設立された団体です。その中で ATI(Accredited Training Instructor) は、科学的根拠に基づいたトレーニング理論を理解し、クライアントや選手に対して安全で効果的な指導ができる人材を認定する資格です。
国際資格であるNSCAやNESTAが「世界基準」を重視しているのに対し、JATIは「日本人の体質・環境・教育制度に適したトレーニング指導」を体系的に学べるのが特徴です。国内のスポーツチームや教育機関、フィットネスクラブなどでは、JATI資格を採用基準の一つにしているところも多く、信頼性の高い国内資格といえます。
認定団体
- 日本トレーニング指導者協会(JATI)
- 本部所在地:東京都千代田区
受験資格
- 満20歳以上
- トレーニング関連分野(体育・スポーツ・健康科学等)を学んだ者、または実務経験を有する者
- 一般会員としてJATIに登録していること
試験概要
- 試験形式:筆記試験(マークシート・論述形式)
- 試験内容:トレーニング科学(解剖学、生理学、バイオメカニクスなど)、トレーニング指導(プログラム設計、種目選択、実技指導)
- 合格率:約50〜60%(年度によって変動)
- 試験実施:年1〜2回(全国主要都市で開催)
大学・専門学校のカリキュラムにも導入されていることが多く、卒業と同時に受験資格を得られるケースもあります。現場経験が重視される資格なので、トレーナーを「仕事」として続けていく覚悟のある方におすすめです。

学べる内容
JATI-ATIでは、科学的理論と現場での応用力を両立するために、以下のような内容を体系的に学びます。
1. トレーニング科学の基礎
解剖学・生理学・運動学など、人の身体の仕組みを徹底的に理解します。筋肉や関節の働きを正確に把握することで、トレーニングフォームの誤りや怪我のリスクを減らし、より安全で効率的な指導が可能になります。
2. プログラムデザインと期分け(ピリオダイゼーション)
クライアントや選手の目的に応じて、最適なトレーニングメニューを設計する方法を学びます。特に、長期的な成果を出すための「期分け(ピリオダイゼーション)」の考え方を習得できる点は、JATIの大きな特徴です。アスリートの年間計画から、一般のボディメイクや健康維持まで応用可能です。
3. コンディショニングとリカバリー
パフォーマンスを最大化するためのストレッチ、柔軟性向上、回復法(睡眠・栄養・疲労管理など)も重視されています。これにより、「トレーニングを教えるだけのトレーナー」ではなく、「身体のコンディション全体をマネジメントできる専門家」を目指せます。
4. コーチングスキル
指導現場では「知識」だけでなく、「伝え方」も重要です。
JATIでは、クライアントや選手のモチベーションを高め、信頼関係を築くためのコミュニケーション術も学びます。スポーツ心理学や行動科学の視点から、人を動かす指導法を体系的に学べるのは実践的です。
5. 安全管理とリスクマネジメント
運動中の事故や怪我を防ぐためのリスク管理も必須です。AEDやCPR(心肺蘇生)に関する知識、環境管理、施設安全対策なども扱われます。
これらの学びを通して得られるのは、単なる「トレーニング知識」ではなく、人を変える力 です。身体の動きを理解し、目的に合わせてプログラムを設計し、ケガなく継続させる。そのすべてを一人で完結できるのがJATI-ATIの強みです。
現場では、知識だけでなく「伝える力」「支える力」も求められます。JATIのカリキュラムは、まさにその両輪を育てる実践的な内容です。理論を学び、現場で活かす。このサイクルを繰り返すことで、トレーナーとしての引き出しが増え、どんなクライアントにも対応できる“本物の指導者”へと成長できます。
資格取得のメリット
私が経営者として、また元アスリートとして感じるJATI-ATIの最大の魅力は、「現場で即戦力になる教育内容」にあります。
JATI-ATIが『机上の知識で終わらない資格』だということです。トレーニング理論を学びながら、実際に現場でどう活かすかまで落とし込める点が、他資格との大きな違いです。
JATI保持者は動作を見る力や修正の提案力が非常に高いです。クライアントとの距離感も上手く、信頼を築くのが早い印象があります。これはJATIの教育課程で、理論と同時に「現場力」を徹底的に磨くからこそだと思います。
また、日本国内での知名度や信頼性が高く、大学やチーム、行政関連のスポーツ事業でも評価されています。海外資格のようなブランド力ではなく、「日本の現場で求められる力」を認定するのがJATIの価値です。自分の成長を実感しながら、選手やお客様の変化を支えたい。そんな“人を育てる喜び”を感じられる資格だと私は思います。
資格を活かせるフィールド
JATI-ATIの強みは、活躍できる現場の広さ にあります。
- パーソナルジムトレーナー
一人ひとりに合わせた指導が可能。姿勢改善やダイエットなど、一般層への指導に強い。 - アスリートサポート(チームトレーナー)
部活動やプロチームでのフィジカル強化、リハビリ・パフォーマンス分析など。 - フィットネスクラブインストラクター
集団レッスンやマシントレーニングの指導を通じて、健康志向層へのサポートが可能。
トレーナーの仕事は、単に体を鍛えることではありません。クライアントの人生に寄り添い、その人の「変わりたい」という想いを形にする仕事です。JATI-ATIで学ぶ理論やスキルは、そのための土台になります。
私自身、引退後にトレーナーとして指導を始めたとき、最も感じたのは「人の成長を支えることの奥深さ」でした。筋力や柔軟性だけでなく、心の変化にも寄り添うこと。それができるトレーナーほど、長く愛され、信頼される存在になっていきます。
JATI-ATIは、その“信頼されるトレーナー”になるための第一歩です。どんな現場でも通用する指導力を身につければ、自分の可能性は一気に広がります。パーソナルジムで一人の人生を変えるのも、チームで選手の未来を支えるのも、あなた次第。JATIの学びを通して、現場で必要とされる「人を動かす力」を磨いていけば、どんなフィールドでも輝けるはずです。
他の資格との違い
トレーナー関連の資格は数多くありますが、JATI-ATIが特に優れているのは「日本の現場に最もフィットしている」という点です。NSCAやNESTAといった国際資格は世界的な認知度や理論体系の完成度が高い一方で、指導現場の多くを占める日本人の体格・文化・教育環境に即した内容とは言い切れません。
JATIはその点をしっかりと補い、日本のスポーツ現場やフィットネス業界で『即戦力』として通用する力を養える構成になっています。また、NESTAが独立・開業などビジネス面を重視しているのに対し、JATIはあくまで「指導力と安全性」を中心に据えています。つまり、どの現場でも通用する“土台の強さ”を身につけられるのが特徴です。
さらに、健康運動指導士や健康運動実践指導者のように医療寄りでもなく、CSCSのようにアスリート特化でもない。その中間に位置し、一般から競技者まで幅広く対応できるのがJATIの強みです。日本国内でキャリアを築きたい方にとって、JATI-ATIはまさに「信頼と実践力を証明する資格」と言えるでしょう。
海外展開を視野に入れるならNSCAやNESTAがおすすめですが、日本国内で確実に実績を積みたい人 にはJATIが最も実用的です。特に、教育現場(大学・専門学校)や自治体スポーツ事業などではJATI資格が求められることも多く、国内での活動基盤を築く上で大きな強みになります。
まとめ
JATI-ATIは、「現場で信頼される日本型トレーナー」を目指す人にとって最適な資格です。理論だけでなく、実践的な指導力・コーチング力・安全管理までバランスよく学べるため、現場での即戦力として高く評価されます。
私自身、採用や育成を行う立場からも感じますが、「JATI-ATIを持っているトレーナーは、現場を理解している」という印象を受けます。知識だけでなく、人との関わり方やリスク管理まで身についている。これが、プロの現場では最も重要です。
国内で信頼されるトレーナーとしてのキャリアを築きたい方、将来スポーツチームや教育機関で活躍したい方には、JATI-ATIの取得を強くおすすめします。あなたのトレーナー人生の大きな一歩となるでしょう。
記事執筆 監修者

株式会社ノバス 代表取締役 脇坂諭
パーソナルジム ノバス代表 / キャリア採用担当
採用HP:新卒、キャリア採用のご案内
【キャリア】
鹿屋体育大学 体育学部 体育・スポーツ課程を卒業後、サッカー選手として現J3カマタマーレ讃岐に4年間在籍。
引退後、トレーナーとしてのキャリアをスタート。体育スポーツ学の専門性とアスリートとしての経験を活かし、2015年に株式会社ノバスを創業。
パーソナルジム事業に加え、フランチャイズ本部、プロダクト開発、健康ソリューション事業などを展開。
ノバスの理念である「ジムのある暮らしを、一生モノの習慣に」を体現するため、オンラインコンテンツ「ノバスオンライン」の開発など、継続支援システムを構築。
香川県や高松市といった行政との提携実績があり、企業の健康経営支援サポートや、各種セミナーやメディア出演(KSB瀬戸内海放送15回)を通じ、健康の普及に尽力している。
【経歴】
現J3カマタマーレ讃岐 選手
【学歴】
鹿屋体育大学 体育学部 体育・スポーツ課程(学士号)
【保有資格】
健康運動指導士
保健体育教員免許
健康経営アドバイザー
【ノバス店舗一覧】


